第46回三重県オープンゴルフ選手権競技
2025年5月29日(木)・30日(金)
会場/近鉄賢島カンツリークラブ 6959yd Par72
賞金総額/800万円
参加人数/142名(うち欠場3名) (アマ83名うち欠場2名、プロ59名うち欠場1名)
天候/1R 曇り、2R 曇りのち晴れ
通算10アンダーで
三重県オープン史上初のアマチュア総合優勝。
大学1年、橋本拓英選手(東北福祉大)
第46回三重県オープンゴルフ選手権競技は、史上初のアマチュア総合優勝という形で幕を閉じた。優勝したのは東北福祉大1年の橋本拓英選手だ。初日に7アンダー、65ストロークをマークしてアマチュアコースレコードを更新するとともに首位タイ発進。決勝の2日目も、安定したゴルフを展開してさらにスコアを3打伸ばし、通算10アンダーでの快挙だった。
<第1日 予選ラウンド>
プロアマ合わせて139人が出場した。曇り空でやや冷んやりしていたが選手たちには絶好のゴルフ日和といった陽気のもと、素晴らしく仕上げられたグリーンコンディションも相まって、好スコアが続出した。
午前7時からと午前11時20分からという2部制で行われた今大会。選手ファーストの競技進行で、選手たちは折り返し時点でも待つことなくスムーズに後半のプレーに進んだ。
首位に立ったのは、7アンダー65ストロークで、アマチュアの橋本拓英選手(東北福祉大)、渡辺龍ノ介選手(フリー)、菱田健斗選手(フリー)の3人。さらに2打差の67ストロークに田中伸乃輔選手(NTPホールディングス)と佐々悦彦選手(赤福)が、さらに1打差の68ストロークには安達大空選手(東建多度CC名古屋)、阪口亮太選手(フリー)、青山晃大選手(フリー)、喜多翔一選手(島ヶ原CC)、小野田享也選手(名古屋GC)の5人が続いた。第1ラウンドでのアンダーパーは21人だった。そして、78ストロークまでの80人が決勝ラウンドに進出。タイが生じたため、マッチングスコアカード方式により決定された。
<第2日 決勝ラウンド>
出場したのはプロ50人、アマ30人の計80人。この日のティーオフは、午前9時から、1組4人に変更されていた。予報では雨が徐々に止むということだったからだが、嬉しいことに、雨は朝までに止んでおり、曇り空から薄日がさすようなスタートとなった。この日のスティンプは10.5フィート、刈り高3.6mmと発表された。

スタート前にインタビューを受ける橋本選手
首位7アンダーに3人、5アンダー2人、4アンダー5人、3アンダー2人、2アンダー4人と大混戦が予想された決勝ラウンド。最終組は1番パー5で橋本選手と菱田選手がボギー、渡辺選手と田中選手がバーディといきなりスコアが動く展開に。だが、その後はパーオンするもののバーディパットがなかなか決まらない状況が続き、4選手ともに出入りがあったが、前半を終えた時点で、4選手が1打伸ばし、橋本、渡辺、菱田の3選手が通算8アンダー、田中選手が通算6アンダーだった。前を行く選手の中では、森雄貴選手(グレイスヒルズCC)と佐々選手、アマチュアの滝田詠夢選手(代々木高)が通算6アンダー、小野田選手と安達選手が通算5アンダーに伸ばしていた。

コース内に設置された速報リーダーボード
後半に入り、最終組の橋本選手、菱田選手、田中選手が10番パー4でバーディを奪取、13番パー5で橋本選手と渡辺選手がバーディ奪取、菱田選手がボギーとし、このホールで橋本選手が通算10アンダーの単独首位に立ったのだ。ホールは進む。しかし、しぶとくパーセーブを続ける橋本選手を追いかけるプロたちがなかなかバーディを奪えない。そんな時、2組前の小野田選手が通算10アンダーで18番を迎えるという情報が入る。プレーオフもあるのかと周囲のざわつきがある中で、続いて入ってきたのが、小野田選手が18番でボギー、同組の森選手がバーディで2人が通算9アンダーでクラブハウスリーダーとなったとの速報だった。
橋本選手が通算10アンダーで首位のまま迎えた18番、この組の渡辺選手と菱田選手は通算8アンダー、田中選手は通算7アンダーだった。橋本選手の第1打はフェアウェイやや左サイド、しかも一番飛んでいた。そして、残り125ヤードの第2打を50度でピン左4メートルにオンさせた。バーディパットは惜しくも外れたが、パーでフィニッシュ。三重県オープン史上初のアマチュア優勝の瞬間だった。
優勝賞金及び副賞はプロの部1位の森選手と小野田選手に贈られた。
また、アマチュアの部は、優勝は橋本選手でベストアマ3連覇、続いて、滝田詠夢選手(代々木高)、3位には岡田健太郎選手(福井工業大福井高)がそれぞれ決勝をアンダーパーで回って浮上、入賞を手にした。
<表彰式・会場の様子>
<インタビュー>
◆総合の部
優勝
「8番パー3でバーディが取れた時、来た〜と思いました」
橋本拓英 選手(東北福祉大1年) 134=65、69(35、34)
「すごく、嬉しいです。調子は良かったので、もしかしたらあるかなあと思っていました」と優勝会見で話しはじめた橋本選手。初日にアマチュアコースレコードとなる65をマークし、2日目の決勝は、1番をボギー発進だったものの4バーディ、1ボギーの69をマークした。「ボギーの後は、とりあえず落ち着いてやろうと思って、パーを積み重ねていって、バーディチャンスがあるといいなと思ってプレーしていました。最初は一緒のプロの雰囲気に圧倒されしまった部分もありましたが、しっかりとついていくことができて良かったです」と続けた。ポイントとなったのは8番パー3(197ヤード)だった。あわやホールインワンの30センチにぴたりとつけ楽々バーディ、上位3人が並んだのだ。この時、「キタ〜」と橋本選手は内心「行けるかも」と思ったのだとか。津市出身、三重高からこの春、東北福祉大に進学した。全国から強い選手が集まる東北福祉大は、学内の選考会だけでも熾烈な戦いがある。そのため、入学して間もない橋本選手だが、技もメンタルも鍛えられてきたようだ、実は、三重県オープンの前週に、岐阜県のスプリングフィールドゴルフクラブで開催された中部アマチュアで優勝した矢野仁貴選手は同級生。橋本選手は9位に終わり、「あの試合で負けてすごく悔しかった」そうだ。そんな悔しさも、今回の優勝につながる大いなる原動力になったに違いない。
◆プロの部
賞金 200万円
副賞 ダイソン製品3点(三重県ゴルフ連盟)、松坂肉10kg(JA三重信連)、三重さくらポーク10kg(三重畜産・有)、宿泊券(清少納言)
1位
森雄貴 選手(グレイスヒルズCC) 135=69、66(33、33)
7バーディ、1ボギーの66は決勝ラウンドのベストスコアだった。「今日はティーショットもショットもよく、パーオンを外したのは1回だけで、その1回がボギーでした。通算で2桁に行きたった。残念」。森選手は第39回(三鈴CCで開催)と第42回(グレイスヒルズCCで開催)の2度優勝をしている。
1位
小野田享也 選手(名古屋GC) 135=68、67(35、32)
森選手とプロ1位を分け合ったのが小野田選手だった。首位と3打差でスタートし、前半2バーディ、1ボギーの35で折り返すと、後半の12番から3連続バーディ、さらに16番、17番もバーディを奪って、通算10アンダーに伸ばした。この時点で、首位の橋本選手に並んだのだが、最終18番で第1打を左の林に曲げてしまい、3オン2パットのボギー。プレーオフを自ら手放した形となった。三重県オープンは今回が初出場の33歳。
◆アマチュアの部
優勝
橋本拓英 選手(東北福祉大1年) 134=65、69(35、34)
ベストアマは高2、高3に続き、3年連続の受賞となった。
2位 滝田詠夢 選手(代々木高3年) 140=70、70(32、38)
前半1番でバーディ奪取すると、3番から3連続バーディ、さらに7番でもバーディと好調に進んだ滝田選手だったが、9番でアプローチからのパーパットが入らずボギーとした。「折り返しの時、リーダーボードを見たらトップの方にいて、優勝もあるのかと思いました。後半13番でチップインバーディが来て、そのまま続けたかったけど・・。15番で1打目が右に行き、前の木に当たって戻ってくるなどでダブルボギー、18番でボギーにしてしまいました」と後半の最後にスコアを崩したことを悔しがった。「ショットもパットも悪くなかったし、緊張感も程よくあったのだけれど、冷静になれなかったのが良くなかったかなと思います」。今年に入り、三重県ジュニアで優勝、中部アマチュア9位と好調キープ。日本アマチュアや中部オープン出場権も得ている。
3位
岡田健太郎 選手(福井工業大福井高1年) 142=73、69(32、37)
アマチュア9位でスタートし、3位に浮上した。「前半の1番、6番でバーディが取れて、7番パー5でイーグルが取れました。2打目がグリーンオーバーしてしまったんですが、15ヤード左足下りのアプローチを60度で開いて打ったのが入りました」と前半に伸ばせた。「後半はチャンスがあったもののパッティングが入らず、1バーディ、2ボギーでした。3位に入れて良かったです」と笑顔で締めくくった。津市西郊中からこの春、福井工大福井高に進学した。身体も一回り逞しくなった健太郎くんは親元を離れた寮生活にも慣れてきた。次週は中部の高校団体戦があるそうだ。
◆ベストスコア賞
1日目 65 橋本拓英(東北福祉大)、菱田健斗(フリー)、渡辺龍ノ介(フリー)
2日目 66 森雄貴(グレイスヒルズCC)
◆コースレコード賞(アマチュア)
橋本拓英選手/1日目にマークした65が、2002年にEDDIE LEE選手(ニュージーランド)がトヨタジュニアゴルフワールドカップで達成した66を更新、アマチュアコースレコードを達成した。
◆ホールインワン賞は、8番ホール(株・宝輪)と、17番ホール(株・アプラス)で用意されていたが、該当者はなかった。